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英国で43歳の首相が誕生した意味(その1)

5月6日の総選挙の結果、ブラウン首相率いる労働党(Labour)が13年ぶりに政権の座を明け渡し、David Cameron率いる保守党(Conservative)とNick Clegg率いる自由民主党(Liberal Democratic)の連立政権が誕生した。
どの党も過半数を獲得できず、第一党の保守党と第三党の自由民主党が65年ぶりの連立政権(Hung Parliament)を組んだのだ。

今回の結果には、「二大政党制の限界が現れた」など様々な論評があるが、一連の選挙結果を見て考えたことは3つあった。

1.43歳のリーダーが誕生

何はともあれ、新たな首相David Cameronは43歳という若さである。連立を組む自由民主党の党首で、副首相として入閣したNick Cleggも43歳。
オズボーン財務相に至っては38歳の若さだ。

「若さ」には賛否両論ある。「そんな若造に国が任せられるのか」「人間としてまだまだ成熟していないのに無理だ」といった声が日本では起きそうである。
日本の首相と言えば、60~70代が相場で、たまに50代の首相が出れば若いイメージを受ける。

確かに、このような指摘が当たっている部分もあるだろう。
でも、経験豊富の高齢のリーダーがいいかと言えば、それはそれで「保守的」「逃げ切り」の心理が働くことも容易に想像できる。

僕が注目したいのは、そのような気力体力漲る若いリーダーに国を任せる、社会の懐の深さ、しなやかさだ。閉塞状況の中、変化を求めて「やってみせる」。そういう姿勢だ。
清新で若いイメージは、人心に活力を与える要素もある。既存のしがらみを断ち切ることも期待できる。

それに、「エリート教育」についても考えさせられる。
彼らは歳は若いかもしれないが、裕福な家庭で育ち、英才教育を受けてきた「リーダーになるべくしてなった」人々だ。
政治家としてのキャリアもあるし、歳だけでは判別できない、一種の「帝王学」を学び、必死に政治家としての階段を上ってきた。その意味では、べテラン政治家に能力・経験が劣るとは言えない。
「平等志向」の強い日本では、「エリート教育」などと言うと反発があるかもしれないが、確実に社会の一部の層を「リーダー」として鍛え上げる、
そういう仕組みがあることは、国が強く、また世界のリーダー達と伍していく上で重要な論点ではないだろうか。

日本でも、国を引っ張る「エリート」を養成することの是非とその方法について議論を深めていいのではないだろうか。

それから見落とせないのは、若いリーダーは、まさに子育て世代。
したがって、子育て施策や、子どものための政策に強い関心を持つ。
国のリーダーが、実生活に基づくシンパシーによって、子どもをしっかりと政策の軸に据えていくことが重要だ。
Cameron首相の夫人は妊娠中でもある。
労働党政権時代のブレア、ブラウン首相(当時)にも、10歳にも満たない子どもたちがいた。
日本の「子ども関連」の施策への予算や資源配分が少ないことの一因には、リーダーの年齢も関係していると思う。

# by tktkjapan | 2010-05-19 01:20

いよいよ政権交代か!

英国の総選挙が6日に実施され、大勢は英国時間未明(日本時間の7日午前)には判明する見込み。
日本のメディアでのcoverageは薄いが、この選挙、とても重要な示唆を与えてくれるものになると思う。

今回の選挙の焦点はなんと言っても、13年も続いた労働党政権からの政権交代が起きるか、ということ。保守党(Conservative)は世論調査で10ポイント近く労働党をリードしており、自由民主党(Liberal-Democratic)も党首Nick Cleggが脚光を浴びて、いまや第2党の座を奪おうという勢いだ。
現首相で労働党党首のGordon Brownは選挙戦終盤の失言もあって、苦境に立たされている。

しかし、今回の選挙では、Lib-Demの予想外の躍進によって過半数を得る政党が出ないとの観測も強い。そうなると、50年来なかったhang-parliament(宙ぶらりん政権)になるという。

今回の選挙の結果とその意味するものについては、明日以降、様々な解説加えられると思うが、とても深い意味合いを持つものとなるだろう。ここでは3つ掲げておきたい。

1.二大政党の歴史の長い英国において、二大政党以外の「第三党」に国民の強い期待が現れていること
これは、二大政党が掲げてきた理念や政策路線の違いが曖昧に、見えにくくなっていることとも解釈できるし、一種の「飽き」が来たとも言える。二大政党制のお手本のような英国で、このような変化が起きていることは興味深い。

2.党首の魅力が選挙を左右すること
これは日本でもかなり言えることだが、政党政治の国、英国でも遂に史上初のテレビ党首討論が行われるなど、アメリカ型の選挙戦が行われ、党首の魅力が選挙戦を大きく左右した。それが如実に出たのが自由民主党Nick Cleggの大躍進だ。

3.財政問題が大きなissueになっていること
英国は世界同時不況以降、ギリシャほどではないが、財政赤字がかなり大幅に膨らんでおり、これをどうするか、が目下の大きな関心事。選挙後には、特に保守党が政権を取ればかなり大胆な歳出削減が予想されている。このような骨太なテーマが選挙戦のメインイシューになること自体、日本も大いに見習うべきであるが、実際に選挙後、どのような取組が展開されるのか、日本にとって学ぶところがきっと大きいと思う。

ともあれ、明日の選挙結果には要注目です。
日本での報道はやや少ないが、色んなことを教えてくれる英国総選挙となりそうですので、
ぜひ注目してみてください!

# by tktkjapan | 2010-05-07 00:30

小さなchangeで日本を変える!

今日はライフネット生命を立ち上げ、金融界の「坂本龍馬」?とも評される、若手ベンチャーの雄、岩瀬大輔さんとご一緒させていただいた。

岩瀬さん、とにかくいつも頭の回転が速く、視点がグローバルで、でも柔らかいので、教えられることが多いのですが、今日の話の中で盛り上がったのは、「物事を変えるにはどうアプローチしていけばいいのか」ということ。

岩瀬さん曰く、「壁に小さな穴を開け、あるいは水面に小さな一滴をたらすだけでも、予想よりはるかに大きいインパクトを生む。小さなchangeが大きな変革のうねりを起こすと思う。」

確かに、small winができれば、人々の思考の枠が動揺し、それまでの常識は過去のものとなり、人々の心と頭に切り替えが始まる。そんな小さな「最初の一歩」に挑めるかどうかが、これからの日本を左右する気がする。その意味で共感できる発想だった。

私は、empowermentをキーワードとして挙げた。政府や法律だけが世の中を決めるのではない。
市民ひとりひとりが自ら考え、参加し、動き、そして変化を起こしていく。
それが本当に物事を芯から変えていく、そして社会全体が向上していく王道だろう。
「民度」なんて言うとおこがましいが、それが日本人と日本をこれからも前向きに動かしていく力となる。

そんなこんなで、楽しいお話をさせていただいた。フィールドは違いますが、岩瀬さんのますますのご活躍を祈ります。

# by tktkjapan | 2010-04-06 23:43

すごい!亀田メディカルセンター(その2)

昨日に続き、先週末に、千葉県は房総鴨川の亀田メディカルセンターへお邪魔した話をご紹介したい。

3.外科医内藤医師へのインタビュー

広い敷地、最新鋭の機器、モチベーションの高いスタッフに惹かれて、亀田には有能で向上心溢れるドクターが集まる。内藤医師もその1人だ。亀田病院は、症例が多く(しかも難しいものが多い)、規模が大きく、施設・研修が充実していて、働き甲斐があるという。

大学病院のように単純な仕事ばかりやらされるのでなく、向上心の強いドクターに囲まれて刺激的という。ただ、それでも、今の日本の医療では、医療従事者の待遇や労働時間に不満があるし、将来の生活を考えると心もとない。外科医は特に少ないので、忙しい割りに充実感がもてない一面もあるとのことだった。
例え高度な技能を身に付けても評価される仕組みもなければ、仕事内容で活かされるかもわからない。専門医の質を維持する仕組みが必要だという意見も。それから、事故や訴訟は正直言って「怖い」と。精神的ストレスも大きいようだった。

最後に内藤医師が言ったことは、今の日本は、「優秀な医師ほど海外にトライしたくなる」状況だ、ということ。
この言葉を噛み締める必要があるだろう。待遇、勤務環境、技術の評価などなど、それへの回答は様々だ。一つ一つ手を打たないといけない。何より、こうした声をじっくり聞くことが必要と感じた。

4.救急医療の現場

土曜日の夕方という時間帯だったが、救急医療の現場で2時間半ほどじっくり体験させていただいた。運ばれてきた患者さんは3名だったが、リアルに、時間の流れを肌感覚で感じながら、見させていただいた。
救急部のドクターは、AM8:00から24時間勤務、その後病棟で正午くらいまで働き(計28時間勤務)、それから翌日のAM8:00まで休み、というスタイル。これが若い医師だと月に10回、中堅でも週に2-3回はあるとのこと。

私がいたときの患者はそこまで重篤な患者はおられなかったが、やはりそうはいっても、救急患者は的確な処置を迅速に施す集中力と緊張感が必要。そんな状況の中で、28時間働き続ける状況・・・「実感」として考えさせられた。こんな職場があるだろうか?ジャブジャブとは言わなくても、多少の余裕ある勤務体制がなければ。。。
それでも亀田病院はまだまだ状況がいいほうだという。考えさせられた。
救急のドクターに聞いてみた。「40歳を過ぎてもこの生活をやっていく自信がありますか?」その答えは「開業を考えるかもしれません。」・・・これでいいのだろうか?
そんな中でも、ドクターの皆さんはてきぱきと、そして明るく仕事をこなしていた。頭の下がる思いだった。

以上のような中味の濃い1日を終え、夜は小松先生と、懇親の機会。かの小松先生と、じっくりお話できる機会など勿体ないくらいだが、房総の海の幸を囲んで、とても楽しいひとときだった。本当に先生の教養深さと思考には圧倒的な敬意を表するばかりだ。
「医療と法律は相性が悪いんですよね。」小松先生のこの一言に胸を衝かれた。
制度や規制と医療の関係、これは本当に十分に考え抜くことが必要なテーマだと思った。


以上、週末の1日をかけて、朝6時から家を出て、帰ってきたのは深夜12時という、文字通り「濃厚」な1日だった。
亀田メディカルセンター、勇気と先見の明でチャレンジし続けるからこそ、きっと逆風も多いはず。
「カメダは特殊事例だよ」「勝ち組病院のやること」「鴨川という特殊な立地条件のなせる業」そんなやっかみとも取れる評論もある。保守的に見ればそれも心情的に分かるし、そうやってまず否定して見せる人も多いかもしれない。

でも、「患者」を思い、「日本」を引っ張り、「規制」の枠を破っていく覚悟、そこには医療人としての一つの形、リスペクトすべき生き様があるように感じた。
毀誉褒貶があるのは、それだけ強い磁力を持っている証だ。

highly regulated な医療の世界。そこに勇気とチャレンジを持ち込むこと。それがこれから必要なのではないか。
亀田のチャレンジを受け入れるおおらかさ、懐の大きさを日本の医療は持つべきだし、どんどん追随する病院が出てきてほしいと思った。
すべての医療人は「患者」と「健康」と日本人の「安心」を目指していることに変わりはないのだから。

ぜひぜひ、多くの方に見て、感じていただきたい。そんな経験をさせていただいた1日だった。
どんどん見て、感じて、議論して、、、そして異なる立場にいる人どうしがコミュニケートし、いいものを作り出していく、それがこれからの医療に一番必要なことではないだろうか。

お忙しい中、ご案内くださった亀田理事長、小松先生、内藤医師、三好さん、本当にありがとうございました!


# by tktkjapan | 2010-04-04 23:00

すごい!亀田メディカルセンター(その1)

医療の現場が見たいと思い立ち、「医療崩壊」でお馴染みの小松秀樹先生にお願いして、かの亀田メディカルセンターへ初めて赴いた。

亀田メディカルセンターを運営する医療法人鉄蕉会の理事長の亀田隆明氏との面談の後、亀田理事長と小松先生の手引きでセンター内を案内していただいた。
午後は、Kタワーという、最新の病棟をゆっくりとご案内いただき、外科の内藤医師へのインタビュー、そして救急医療部に2時間半お邪魔して、救急医療を体感することができた。
その後は小松秀樹先生と、房総の海の幸を囲んで懇親させていただいた。
本当にてんこ盛りの1日で、学ぶこと、考えること、何より感じることが多かった。

亀田メディカルセンターは言わずとしれた「医療界の雄」なので、視察などで行かれた方も多いと思う。
そして、感銘を受けた方も多いと思う。僕もその1人に加わった。

1.亀田隆明理事長は、迫力と理想を強く持った方。日本の医療を変える、引っ張っていく、という情熱と覚悟のある方で、意見交換させていただき、強く印象を持った。その日はオフレコということで色々なお話も伺えたが、それはここでは置くとして、特に印象に残ったのは、以下のようなコメントだった。
・医療は雇用も需要も既にある。それをどう形にしていくか。それを阻害しているのは「許認可」マインドだ。
・今の医療行政に足りないのはcapital の視点。すっぽり落ちている。
・迷っても、金がなくても「患者のためになるか」がすべての判断の原点。
そんな力のある言葉の数々だった。実際、理事長は「現場」「患者」を意思決定の中心に据えている。そして、多くの方々、分野の人々と会って、常に世の動きを察知し、コミュニケーションをされている。
「自分の考えをもった人間でないと面白くない」と喝破されたのも頷ける。
組織や規則やしがらみにとらわれない、そんな発想ができる人間になりたいと再認識させてくださった。

2.Kタワーの視察も驚きの連続だった。20年ほど前には策定していたというマスタープランに基づき、徹底的に「患者」の視点にこだわり抜いた病棟だった。「考え抜く」ことの大切さを感じさせてくれた。
たとえば、、、患者とスタッフの動線が別々(患者の動線にはカーペット)、患者の情報収集コーナー「プラタナス」によって患者の参加を求める姿勢、女性の視点を重視して作った売店、受付にはコンシェルジュがいて、患者の不満も聞いてくれる。
圧巻は、病室だった。地の利を生かしたocean viewの病室は1.8万、3万、5万の差額ベッド。入院ではなくとも、普通にリゾートとして泊まりたい!と思わせるものだった。これも理事長の「普通の人だってこういう部屋に泊まってみたいのだから、病気の人にはもっとこういう思いをさせてあげたい」という思いが形になったものだという。
病室は、点滴などの機器が見えないように棚の中に納められ、ベッドサイドのタッチパネルでは、TVやPCが使えることは当たり前で、食事の選択、薬や検査の解説、買い物のオーダーなどが出来る。自分の受けている治療などに理解し、参加する一助にもなる発想だ。
nurse stationはカーペートが敷かれ、患者の出入りも自由。NICUはweb cameraが設置され、ご自宅で赤ちゃんの顔を見ることも出来る。
とことん、考え抜かれた病棟だった。病院のイメージを一変させられたのであった。

(明日に続く)

# by tktkjapan | 2010-04-03 17:29

医療ノウハウを世界に売り出せ

英国NHSが、その蓄積と技術を世界に売り出すと発表した。
医療システムや技術といったものを多くの国々売り出し、その利益をNHSへの投資に振り向けるという発想だ。
最近はやりつつあるmedical tourismどころでない、ダイナミックな発想だ。

400兆円を超えるという医療の「マーケット」に乗り出して、ソフト面での知見を売り出せば、
相当の収益が上げられると見込んでいる。
これは、BBC がそのコンテンツを世界中に売り出して、大きな利益を得ていることをモデルにしているという。そのためにNHS Globalという機関を立ち上げるという。

保健省(DH)のプレスリリース3/25

Telegraph3/26, FT3/25,Pulse3/25

Andy Burnham保健相によれば、具体的には、英国のプライマリ・ヘルスケア、NICE、NHS Direct, NHS Institute for Innovation, Moorfield Eye Hospitalのような高度な専門性には、十分は市場価値があるという。
確かにこの中には、私が拙著の中で、力を入れて紹介した部分も多い。魅力的な側面が多いのは事実だ。

こういった動きの背景には、財政難の中で医療費をカットしなければならない中、収入を増やす必要があることや、最近のオバマの医療改革にいたる議論の中で、NHSは「社会主義的で機能が低い」とアメリカ国内で喧伝されたことへの反発もある模様だ。それ以前に、NHSへの英国の強烈な自負を感じる。
「決して社会主義的な古びたものではなく、innovativeで世界に売れるシステムなのだ」と。

そうであるとしても、医療というものを、マーケットや、グローバルといった視点から捉え、
思い切ってそれを売り出し、収益を上げていくという発想自体、かなり野心的で刺激的
だ。

もちろん、このようなアイデアが本当に上手くいくのか、まったく良く見えないし、
注意して見る必要は十分にある。

しかし、こういう「外向き」の発想で攻めていく、そのスタンスは日本にとっても面白いのではないか。日本だって、きめこまかなサービス、バランス感と気配りの利いた保険システムなどは、他国にない付加価値を持っている可能性もある。ほかにも日本が「売れる」ノウハウはあるはずだ。

そんな視点で考えていくことも面白いのではないだろうか。
英国のしたたかさと大胆さ、視線の高さを感じるニュースだ。


# by tktkjapan | 2010-03-28 21:43

Obamaと情熱

Obamacareとも呼ばれるアメリカのオバマ大統領の掲げる医療改革法案が成立した。
国民の6人の1人が医療保険を持っていない超大国。その実像はマイケル・ムーア監督の"Sicko"でも世界の人々を驚かせた。

今回の医療改革法案は、いわゆる「公的医療保険」を国民すべてに提供するものではなく、民間医療保険への加入を支援するなどして、ほとんどの国民がなんらかの医療保険に加入することを義務付けるもの(罰則あり)。

当初描いていた、他の先進国同様の公的医療保険の導入ではないものの、アメリカでは歴史的改革を評価する声が多い。

F.ルーズベルト大統からクリントン大統領まで、数々の大統領が挑んだが、達成できなかった改革。それをやってのけたことは、歴史的改革に値する。

「口だけで実行力がない」などと陰口を叩かれ、目だった成果もなく、(皮肉にもノーベル賞を受賞したりして)、支持率の低下に苦しんでいたオバマ大統領。
今回の改革でそれに歯止めがかかり、再び求心力を得るだろうという見方が出てきた。

私が今回の医療改革法案の成立を見て、もっとも印象的だったのは、オバマのPassionだ。
功名心や政治的意図も勿論あっただろうが、それ以上に、彼が粘り強く、成立に向けて必死の覚悟で取り組んだ、その根底にはPassionがあると感じた。

法案に反対している議員の地元に乗り込み、民衆に演説で訴えかけて支持を取り付け、それによって議員を翻意させる。
そんな、なりふり構わぬやりかたでオバマは法案成立に拘った。

結果的には219-212票の僅差。もし、あと4人が反対に回っていたら、この法案は頓挫し、オバマはいよいよ致命的な打撃を受けたはずだ。

そんなリスクを負ってでも、彼を突き動かしたものは、いったい何だろう?
私は、それは、Passionだと思う。
大きな、誰もが諦めそうな局面でも、周囲を巻き込んで事を起こすには、やはりPassionしかないと痛感した。

事の当否には賛否あるとしても、少し前では、小泉元首相の郵政改革もそうだったし、ブレアが教育や医療の改革に乗り出したのも、裕福でない家庭に生まれ、父は病気で早く亡くなり、苦学した個人的経験に裏打ちされたPassionだった。

医療は特に、「健康な人」にはsymapthyを得られにくい分野だ。得てして、恵まれた家庭に生まれ、健康的な生活をし、よい食事をとり、教育を受けた人々は、ともすれば、医療は縁遠いものとなる(いずれ年をとれば、誰しもその意味を思い知らされるのだが。)。

しかるに、医療を変えていく上では、Passionを持ったリーダーが、他の分野の英知をも巻き込んで進めていくエネルギーが必要だ。ただでさえ、複雑怪奇で様々な力学は働く医療の世界では、並外れたPassionが求められる。

そんなことを考えさせられた、オバマの奮闘だった。
まだ、これからも一筋縄ではいかないだろう。
それでも、人間としての湧き上がるようなPassionによって、彼は突き進んでいくだろう。
そんな姿勢に共感しながら、今後の展開を見ていきたい。









# by tktkjapan | 2010-03-25 01:39

スタッフに愛されない病院では・・・

「自分の勤める病院で家族や友人を診てもらいたいですか?」
-そんな逆説的だが、核心を突く質問に、20%のスタッフが"No"と答えた。
(3/17 Finacial Times, The Guardian, Telegraph)

これを高いと見るか?低いと見るか?日本だとどのくらいの水準になるだろう?

英国の医療・ケアの品質を監査するCare Quality Commissionでは、今年度のStaff Surveyの結果を公表。
こんな「内部告発」型アンケートが行われるのも驚きなら、その結果がtrust(医療機関の経営主体)ごとにすべて公表されるのも驚きだ。

結果を見ると、「名高い」医療機関が実は低いスコアだったり、その逆のケースがあったりして面白い。
個別の医療機関の成績までかなり詳細に分析されて、白日の下に晒される。これは病院トップにはかなりプレッシャーになるというか、こたえるだろう。

何もこれらは、いわゆる医学面での科学的なデータではない。でも、「スタッフの声」という”生”の情報を集め、それを公表し、緊張感を生み出す。
そんなサイクルがこの国にはある。
”透明性”と”声”が改善のmomentumになる、という発想だ。

なお、この調査は、他にも様々な項目があって、「仕事のやりがい・満足度」「職場ストレス」「チームワーク」「ワークライフバランス」「能力向上の実感」「研修・教育の状況」「仕事中に受けたトラブル」「経営陣とのコミュニケーション」「転職意思」「モチベーション」などなど多岐にわたり、冒頭の問はその一つだ。

スタッフの満足度と職場環境こそが、サービス品質の向上につながる。この発想が根本にある。
どんな組織・企業体にも通じる観点ではないだろうか。結局はスタッフの「モチベーション」こそ、医療であれ経営であれ、要諦である。

さて、我が国では、このようなopenessが見られるだろうか?それとも日本人には馴染めない手法なのか?
発想としては面白い、新鮮である。

それにしても、この国は、徹底的に情報を集め、分析し、公表する国だ。感嘆します。

# by tktkjapan | 2010-03-21 00:03

医療と「情報開示」

過日お知り合いになったQLifeの山内善行社長から、インタビューを受け、その記事が掲載されました

QLifeは、全国最大級の口コミ病院検索をはじめ、総合的な医療情報を主にネットを通じて提供されている。フリーアクセスだからこそ、迷ってしまう、戸惑ってしまう患者さんの病院選びをサポートされている。

私も、医療の「情報」、「コミュニケーション」が、大きく医療を変え、良くする鍵ではないかと思っているので、その活動にとても共感し、注目している。ぜひ、一度サイトを覗いていただきたい。

また、病院検索は一部に過ぎず、色々な切り口からの医療情報が総合的に入手できる、とても刺激的なメディアだ。
患者の、病院の、Empowermentに大きく貢献されているのではないかと思う。

山内社長も、ずっと医療のフィールドにいらっしゃった訳ではないが、多彩なご経験とモノゴトをデザインされる力を持っておられるバイタリティ溢れる方。
そのパワーに煽られるようにして、色々と話が弾みました。
山内社長のブログ 

医療をめぐって、色々な動きが、色々なベクトルで動き始めている実感がする。
それらが、医療従事者の方々も、患者の方々も、経営されている人々も、みながwin-winになるような、そんな方向で動いていけば、きっと大きなエネルギーになるような気がする。
山内社長もそうであるように、私も少しでもその一翼を担ってみたいと思う。

# by tktkjapan | 2010-03-20 00:05

軽い風邪で病院行くな!

というルールができたら、どうなるだろう?

素人目に軽症のようでも実は重大な病が潜んでいることも、処置を誤って重症化することもある。
そんな中で、「軽症そう」だからといってアクセスが制限されるのは、そう簡単にコンセンサスを得られるはずがあない。

それがオーソドックスな考え方と思うが、医療費が膨張していく中、軽症の病は公的保険から外すとか、自己負担比率を引き上げるとか、そういう発想が提案されてきてもおかしくない。
確かに、「薬局で変える薬だけど、病院の方が(3割負担で)安いから」と言って病院に赴く人もいたような。。
でも、これは貴重な医療費の有効活用という観点から見ると、よろしくない行動ではあるかもしれない。
また、「有限の資源」で、数に限りもある貴重な医師の方々や医療機関が、必要なサービスを提供できるためには、本当に必要な医療だけにフォーカスしていくことが理想的ではある。
これは一つの理屈だ。

そんな問題意識を掻き立てるレポートが出た。
NHSのGPによる診療の20%がこうした軽症のものに使われ、年間20億ポンド(3000億円)が”ムダ”になっているという指摘だ。(3/16 Telegraph, BBC)

Plymouthの著名な医師の指摘

そこでは、このような"Minor Ailment Syndrome""demand-led culture"がNHSを蝕んでいると警告している。
ちょっとした咳、鼻づまり、背中の痛み、皮膚の異常などで、すぐGPにかかる人が多いというのだ。
(ただ、要注意なのは、この調査が、OTC薬やサプリメントの団体(PAGB)が行ったことである。)

「セルフ・ケア」・・・これが今後のトレンドとしてますます大きくなるだろう。
ではそれをどう進めるのか。どんな工夫があるだろう?
もっと考えを進めるべきテーマだ。

# by tktkjapan | 2010-03-19 02:03

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